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髪の毛の構造 |
■髪の毛(毛幹部)の構造
髪の毛は、頭皮の表面から外に出ている部分の髪の毛(毛幹部)と頭皮表面から内側に深く潜っている部分の髪の毛(毛根部)に区別されます。通常、髪の毛と呼ばれている毛幹部は皮膚などと違い、一度傷つくと髪の毛自体に治癒する能力がないため、その傷は治りません。毛根部は育毛のためには深いほどよく、浅いと、太毛で元気な髪の毛に育ちにくい上に、本来ならまだ抜けなくても良い髪の毛が抜けてしまう異常脱毛を起こしやすくなります。
毛幹部の構造は下図のようになっています。
真ん中に毛髄質、そしてそれ取り囲むように毛皮質、さらにその周りにはキューティクルがあります。 これはすべて約18種類のアミノ酸をが化学結合をして構成されています。
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毛髄質:毛髄質が全くない場合でも異常であるとは限りませんが一般的に毛の太さはこの毛髄質の量によります。色素や脂肪が含まれ、保持機能があります。新生児の毛には毛髄質はありません。
毛皮質:髪の大部分はこの毛皮質です。この層によって、毛質が決まります。繊維状になっており髪の強度を保っています。 また、多くのメラニン色素を含み、人種による体毛の色の差は、ここの色素の量によって変わります。
毛小皮:根元から毛先に向かい何枚ものキューティクルが重なってなっておりブラッシングなど外部の刺激などから髪の毛を保護しています。
@髪の形状
髪の形状は、直毛(ストレートヘア)、波状毛(ウェーブーヘア)、縮毛(カーリーヘア)の3種類に分類されます。日本人の多くは直毛です。くせ毛は先天的
なもので、頭皮の中で毛根が曲がっていたり、髪そのものが円形ではなく楕円形に歪んでいたりするために発生します。
A髪の太さ
日本人の髪の太さの平均値は、0.07〜0.1mmといわれています。一般的に男性よりも女性、子供よりも大人の方が髪は太目です。太さは年齢により変化
します。個人の生活状況・体質などにより差はありますが女性では30歳前後、男性では20歳前後に太さがピークに達し、それ以降は次第に細くなります。年
齢とともに髪にボリュームやハリがなくなっていく原因の一つはこの太さの変化によるものです。
B髪の硬さ
髪の硬さを左右するのは、コルテックスの太さです。コルテックスは、タンパク質の一種であるケラチンタンパク質の集合体で、太いほどケラチンタンパク質が
多く、細いほど少ないと考えられています。一般的に太い髪は硬く、細い髪は軟らかいと言われています。
C髪の色
黒髪・金髪・銀髪・栗色・赤毛など髪の色は様々です。
私たちの髪の色を決めるのは、毛皮質に多く含まれているメラニン色素です。そして、そのメラニン色素には「ユーメラニン」と「フェオメラニン」の2種類が
あります。ユーメラニンは濃い褐色、フェオメラニンは黄色から赤に近い色をしていて、この2つのメラニン色素の量の違いが、黒髪から赤毛、銀髪・金髪など
様々な髪の色を造っています。
例えば、日本人の黒髪には大量のユーメラニンと少量のフェオメラニンが含まれていますが金髪には、ほとんどフェオメラニンしか含まれていません。
そして、この両方のメラニン色素を作るのがメラノサイト(色素生成細胞)です。メラノサイトは毛根部分の一番下にあって髪の製造工場に当る毛母細胞と入り
混じるようにして存在しています。そして、その内部にあるメラノソームが次第に成熟してメラニン色素を作りその色素を毛母細胞へと送り込みます。
また、この毛母細胞が毛乳頭から送り届けられた18種類のアミノ酸を素にして、細胞分裂を繰り返すことで、次から次へと髪が造られています。その過程で、
新しく造られる髪の中にメラニン色素が定着し、それが髪の色となります。
メラノサイト(色素生成細胞)がメラニン色素を作る時に欠かせないのが、チロシナーゼという酵素です。
しかし、この酵素は40才代を過ぎると自然に減少してしまいます。
チロシナーゼが減れば、当然メラノサイトもメラニン色素を十分に造ることができなくなります。
従って、メラニン色素を含まない髪、つまり白髪が生えて来ると言うことになります。
日本人の場合、白髪のなり始めは完全な白ではなく、やや黄色味を帯びていることが多いのは、褐色のユーメラニンの生産が、老化とともに止まっても、しばらくの間はフェオメラニンの生産が続いているからです。
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■毛根部の構造
地肌から上に出ている髪の毛部分を「毛幹」、地肌の内部にある部分を「毛根」といいます。
「毛根」の根元にある球形のふくらんだ部分を「毛球」といい、ここで髪の毛が作られます。
「毛球」の先は内側に凹んでおり、この部分に「毛乳頭」があり、周辺の細胞を「毛母細胞」といいます。この「毛乳頭」が毛細血管から運ばれてくる栄養や酸
素を取り入れ、「毛母細胞」に受け渡し働きかけることで、細胞分裂がおこります。そして細胞分裂によって作られた組織が上へと押し上げられ髪の毛となりま
す。
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髪の毛のヘアーサイクル(毛周期) |
毛髪には一定の寿命があり、発毛と脱毛を繰り返しています。
これをヘアサイクル(毛周期)と呼び、「成長期」→「退行期」→「休止期」の大きく分けて3つの段階を経ます。ヘアサイクルには個人差がありますが、一般的に男性の場合は2〜5年。女性の場合は4〜6年です。
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・成長期(約3〜5年)
成長期は毛母細胞が分裂を繰り返し、毛髪が成長する期間です。髪全体の約80〜90%を占めています。
・退行期(約2〜3週間)
退行期には毛球が縮小し、毛髪を成長させていた毛母細胞の分裂が減少します。また、毛乳頭と毛母が分離し、毛根が頭皮の浅いところへ移動します。この期間は約2〜3週間で、髪全体の約1%がこの状態です。
・休止期(約3〜4ヶ月)
休止期には毛母細胞の活動が完全に止まります。そして、次の髪の毛の生成が始まると同時に、脱毛が始まります。この期間は約3〜4ヶ月で、髪全体の約10〜20%がこの状態です。
退行期や休止期には、毛根が頭皮の浅いところにあるため、ブラッシングやシャンプーなどで髪が簡単に抜け落ちます。1日に抜け落ちる本数が100本以内であれば、特に心配する必要はありません。
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【抜け毛のチェック】 |
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抜けた髪の毛根の形によって、抜け毛の状態がわかります。
健康な毛根の場合、先がマッチ棒のようにふくらみ髪の毛の倍ほどの大きさの形をしています。
毛根の周りに皮脂や汚れ、フケなどが付いたものや先が細くなっているものは、何かのトラブルで抜けたと思われます。 |
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